– 八女茶 –
「伝説の人がいるから。」と晴天に恵まれた2021年3月25日桜が満開の中、福岡県茶業振興推進協議会のお二人に同行させて頂き、奥八女にある玉露で有名な星野村に”伝説の人”に会いに行きました。
今回の目的は、この”伝説の人” 宮原ご夫婦が丹精込めて作る八女の至宝”八女伝統本玉露”の育つ様子をカメラに収めることです。
みなさんは、”八女茶”というお茶をご存知でしょうか?
福岡県出身の私たちには、聴き慣れた名前ですが、全国的に見るとあまり知名度のない名称ということを知り、大変驚きました。
漢数字の『八』に『女』(おんな)にお茶の『茶』と書いて、『やめちゃ』と呼びます。
今では毎日何杯もお茶を飲む私たちも3年前に八女に帰郷するまで”お茶”を飲んだことがほとんどありませんでした。
緑茶を飲む機会は、お寿司を食べた後、もしくは自動販売機でペットボトルのお茶を飲む時ぐらいでした。
行きつけは、外資系のオシャレなカフェ。パソコンの横に常備しているのは、コーヒーまたは紅茶。
それから3年後の現在、私たちのパソコンの横には常に”緑茶”が手に届くところにあり、コーヒー、紅茶は姿を消してしまいました。
私たちは、”緑茶”に興味を持つまで、”お茶”とひとくくりにした表現で”煎茶”を呼び、味の違いはもとより、産地の違いも、種類の違いも何も知りませんでした。
初めて本当の意味で”緑茶”を嗜んだと言えるのは、八女にあるJAふくおか八女 八女茶直売所『一芯庵』という店舗で初めて”八女茶”を淹れてもらった瞬間でした。
「緑茶ってこんな味がするのか!」と50年生きてきて、”知らなかったこと”の一つとして記憶に残っています。
それからは『一芯庵』で淹れていただいたお茶の味が出せるようになるまで、ほぼ全種類の煎茶を購入し、毎日温度を調整しながらお茶を淹れてみましたが、なかなか『一芯庵』で淹れて頂いたお茶の味になるにはほど遠く、正直全く”美味しくない”。
時折『一芯庵』へ訪れて、それはそれは美味しいお茶を淹れて頂くので、自分の淹れたお茶が美味しくない、ということまでは分かるようになっていました。
「どのお茶を買えば美味しいお茶が淹れれますか?」とアドバイスを頂くと「1,000円以上のお茶であればどれも美味しい」と聞いたので、1,000円以上のお茶を全種類購入したのに、1,500円のお茶でも、2,000円のお茶でも全く美味しく淹れることができないのです!
何度も諦めそうになった頃、ようやく“美味しいお茶”を淹れるには、お茶の葉の量とお湯の温度とお湯を入れてから待つ時間、のバランスが大事なことを掴めてきました。
”うわ!美味しい!”と我ながら感動的な味を淹れることができるようになってからは、毎朝、ゆっくりと一人で”お茶を嗜む”時間を持つようになりました。
こうしてこれまで好んで飲んでいた『紅茶』から、ほとんどの水分が『緑茶』に変わるほど劇的な出会いをした『八女茶』。
『八女茶』に深入りして3年間の間に『お茶』の概念が180度変わりました。
私たちが毎日「お茶を飲んでいる」と思っているペットボトルのお茶と、本当に”お茶が好き”な方が嗜んでいる“お茶”は、次元が違います。